宮崎の冬の風物詩

大根やぐら
宮崎県の田野地区の風物詩

この写真をみて何の写真かお分かりだろうか?
これは宮崎県が誇る干し大根を作っている風景です。
竹で組んだこのタワーのことをやぐらと言います。やぐらは長いもので150mにも達し、組み上げるだけでも1週間掛かると言います。今の季節、宮崎市内のとある地域で見ることが出来る風物詩「大根やぐら」。
冬の空っ風に吹かれて畑から掘り出された大根は約2週間かけて水分が抜けていきます。干し具合の目安はくるっと丸めて縛れる程度。この微妙な干し具合が職人の技であり、作り手が丹精込めて手をかけてやることで生まれるものです。

今でこそ、冷え込む夜にはストーブを炊き大根が凍らないように、様子を見たりもするそうですが、昔はストーブなどなかったので、余計なエネルギーを使わずに干し大根は生産されていました。
大切に仕上げられた干し大根は、昔ながらの製法でじっくりと糠で乳酸発酵させて旨味を引き出し、調味液では表現できない味に仕上げるのが漬物職人の技です。技から技へ、生産物への愛情はしっかりと受け継がれて食卓へと運ばれます
この風景を見られるのはあと何年だろうか?

でも、干し大根を扱っている方たちは言います。
「この風景を見られるのはあと何年だろうか?10年もてばいいかねぇ…」
高さにしてビルの2階以上はあるこのやぐらは組み上げるだけでも大変なのですが、それ以上に大変な作業はそのあとです。畑から掘り出した大根は土を取るためにきれいに洗われ、葉の部分をくるりと縄で縛ります。縛られた大根を担ぎながらやぐらに上り、1セットずつ、重なってムラが出来ないように棚に掛けられるのです。
御年95歳の生産者の方も平気でやぐらに上るという事を聞いた時には正直びっくりでしたけれど、その背景には後継者不足という問題が存在しているのですね。

干し大根は、手間が掛かる割には手取りが良くないというので、今では単価の高い「千切り大根(切干大根のこと)」へ移行する生産者や、大根よりも高値で売れるらっきょうなど、作付けするもの自体が変化しているそうです。
時代の変化、技術の進歩によって、今ではガスを炊いて乾燥機で大根を乾燥することもできます。糠でじっくり乳酸発酵させなくても調味液にジャボっと漬ければそれなりの味の商品になります。それなりに美味しいですけれど、発酵食品本来の栄養素や旨味はこの製法では決して得られません。
WASHOKU CLIPが皆さんに知ってほしい事

そんな時代の背景が、この風景を風物詩から歴史の1枚に変えていこうとしているのも事実です。良いものとか、希少価値とか、高級グルメとか、そういったものをご紹介したいのではありません。日本には四季があり、季節ごとの風景や旬の食材、そして香りがあります。更には職人の技術や想い、食材や自然に対する感謝の気持ちを決して忘れることのない日本人の誇るべき思想が存在します。
WASHOKU CLIPが皆さんに知ってほしい事、それは、本来の味には物語があるという事。この物語を知るきっかけを作り、実際に食べたり作ってみたり体験して頂くことで、あなたの旅が少しだけ豊かになることを願っております。
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WASHOKU CLIPさんの投稿 2017年1月31日(火)
Enjoy your trip in Japan and WASHOKU CLIP WORLD !